タイと潮汕人(chaoshanren/チャオシャンレン)

僕が中国上海で仕事を始めて、今年2024年4月でちょうど30周年です。アパレル商売のライバルとして台湾人、香港人、そして上海人などの同業者や、若くて成功している人たちも多く見ながら自分も何とか成功しよう!とがむしゃらに仕事だけをしてきました。今は日本にいる時間も増えて、アパレルの仕事もしながら、中国人の親友とタイのドリアンを日本に輸入しています。これができたことは約30年前広東省スワトーでセーター生産を始めて知り合い、今まで続いている関係があるからです。

1、タイに対する知識

中国に語学の勉強に行くまでは海外など何の知識もなく、アメリカ映画でアカデミー賞作品賞だった昔の映画『王様と私』のシャムがタイだということくらいの興味でした。香港に出向して働いていたとき一度旅行に行きました。

1995年香港から上海に行った頃だったと思うのですが、海外で生活しているので当然中国、香港、台湾、そしてセーターの生産国としてのベトナムとか海外に興味をもってきて、もともと歴史は好きな方だったので、その頃本も結構読んでいました。その中で、今でもかなり鮮明に覚えていますが、『ドラゴンパール』という本https://www.amazon.co.jp/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%88%E4%B8%8A%E3%80%89-%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%B3-%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%8E%E3%82%BF%E3%82%A4/dp/4062070413を読んで タイと中国の間にあった実際の話に衝撃を受けて感動しました。本の説明にも書かれていますが、「遠くの見方より近くの敵」というか、タイの巧みな外交力!にも納得できる内容です。しかし、その時はタイの華僑がどうだとか、特別に興味を持ったわけではありませんでした。

2、潮汕人(chaoshanren/チャオシャンレン)との縁

その後、僕のプロフィールに書いていますが、1996年くらいからスワトー(汕头 shantou)でもセーター生産を始めて、今ドリアンの会社を一緒にやっている親友ルーさんと知り合いました。まさか今の今までこの縁が続くとは思っていませんでした。

彼はもともとスワトーの公務員で我々アパレル業婦人セーターの生産工場は全て彼の奥さんが経営していて、僕がスワトーに出張に行って仕事が終わる夜には彼と食事をするという感じの付き合いでした。

そのころの広東省(福建省も)は中国を牽引する経済特区で、潮汕地区も台湾人、香港人の工場や会社の進出が多く、彼はその手助けをするような仕事をしていたので、我々の同業者も含めて景気もまあまあよかったこともありいろんな人と知り合う機会があり、その多くは潮汕人以外では台湾人でした。その時の彼に恩があった台湾の会社が彼の人脈と人柄を見込んで自分の会社に彼を取り込みました。まあヘッドハンティングとも言えます。その後この台湾の会社がタイに進出をして、彼もタイに一緒に行ってしまいました。この台湾の会社は初めから彼の潮汕人(chaoshanren/チャオシャンレン)人脈にも目をつけていたのでしょう。後から知った話で、彼の母親は中国スワトー籍ですが、生まれたのはタイでした。タイにも彼の親戚が何人もいたということも理由の一つかもしれません。

彼がタイに行ってしまったのが6年前くらいで、その台湾の会社が今も営業はしていて、その仕事も彼はやっていますが、それをやりながらタイの同胞である潮汕人の中で人脈のコーディネートとか、投資、そしてドリアンの農場管理など、やれることをやっています。

3、タイの華人

彼がいるタイですが、およそ6600万の人口で、何とその中の14〜15%(1000万人前後)が彼と同胞の潮汕人(chaoshanren/チャオシャンレン)です。清朝時代〜今までに移民、帰化した中国人たちの子孫です。清朝1700年後期の「潮汕紅頭船」で海洋貿易が盛んだった頃から広東省潮汕地区↔️シャム(タイ)との貿易は盛んでした。真ん中の地図の中にあるスワトー市 澄海(chenghai)は海辺で漁業の人も多く、一番多い潮汕人の中で

もここの人が特に多いだろうと彼らは言っていました。次に多い(日本ではこっちの方が知名度高い)”客家人”が100万人程度ですからタイにおける潮汕人の数は圧倒的!ですね。タイの経済を牛耳っているのが潮汕人!言われているのも納得いきます。アパレル業ではこの澄海は今は糸屋が多くありますね。広州のアパレル市場向けの一大生産地でもあります。彼ら潮汕人についていろんな言いたいことがありますが、またの機会に書きます。

4、これからできること

ちなみに、2023年連立政権を組んで首相に就任した、長身の現首相のセター氏 https://ja.wikipedia.org/wiki/セター・タウィーシン#来歴は隣の福建省(漳州市zhangzhou)から1832年タイに移住してきた祖先からの6代目の末裔ということです。2023年5月の下院選挙でトップとなって首相候補だった42歳のピタ氏https://www.bbc.com/japanese/66253290 は祖先はスワトー(汕头)です。いずれにしても中国の血統です。先月タイに行ったのはドリアンの農場と加工場の視察と、上海の友達がドリアンの商売をしたいというので連れて行ったのもあるのですが、彼ら潮汕人の繋がりを僕なりに観察したかったからでもあります。タイでは華人たちが経済の中心であり、潮汕人である彼らはそれなりのタイの重要な人脈ともある程度はつながっています。4泊しましたが、毎日必ずみんなで食事です。中国語は通じます。中国から商売に来ているお客、潮汕人の同胞、ドリアンの加工場に投資する金持ちそうな人、一帯一路の恩恵を受ける運送業の人、異彩を放つ不動産業の婦人と福建省へ留学していたというその娘さん。。。僕以外はみんな華人です。

ドリアンを足がかりにして彼らと繋がりを持ち、タイ、中国と交流や商売をしたい若者の力になれるような情報を提供していき、橋渡しや手伝いをしたいものです。

**上の左の地図の中の字が見えにくいのでここにも大きい字で書きます、”下の6種の色がついているのが中国広東省で、右端の方のパーブルの3つの市、揭阳(jieyang)市, 汕头(shantou)市, 潮州(chaozhou)市を 潮汕地区といい、そこを故郷とする人やその人を祖先に持つ人たちを 潮汕人(chaoshanren)チャオシャンレンと呼びます”

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