コロナの影響〜送料〜

先日お伝えした、上海浦東(PU DONG)エアポートで数人の感染者が出てから、厳しい規制で収束はしているものの我々にも大きな影響が出ている事があります。
南京から江蘇省広域、そして上海での7月下旬くらいからのクラスターは海外からの入国者以外にはほぼ1日の感染者はどの地域もゼロになっていますが、全く元々の日常になったわけではありません。
上海の飛行場にさらなる厳格な管理体制が敷かれた事で、飛行機の便数がさらに減った事、飛行場で働く人も、日本の会社で交代制や半休とか今は普通だと思いますが、それと同じように色々制限があり全ての人がいままで通り仕事ができているわけではない事、などが理由でDHLやOCS、EMSなどの国際宅急便や郵便の荷物が送ってから届くまで非常に時間がかかっています。
例えば国際宅急便のOCS(ANAの子会社)ならコロナで1年以上減便しているとはいえ、時間内に送れば我々のサンプルなど東京ではほぼ次の日についていたし、大阪なら2日後ではついていました。ところが上海の飛行場のクラスター後は5日から1週間くらいかかっています。OCSはすぐに手を打って北京とか青島の他の飛行場に運んで日本へ送っていてそれで少しは早くなる時もありますが、運べていない貨物も結構あって厳しい状態だと思います。

そうなると当然送る費用が高くなり、セーターなどかさばるものを1週間にいくつもお客さんに送る我々の負担も大きくなります。我々が上海でずっと日本への輸出の時お願いしている貨物会社の話では、航空会社は小荷物を優先している、ということは航空貨物のスペースがとれなくなっている。それでまだ運べていない航空貨物がかなりの量ある、航空貨物料金が安い時は 上海→大阪(東京も変わりませんが)1立方メートル15元〜20元が、今は40元を超えているなどと言っています。
我々のセーター生産でもよくあることですが、納期遅れして「AIRしましょう」となると今まで以上に費用がかかってしまうということですが、そもそもスペースがとれないのでAIRで送るより、船で出荷する方が先に着く、という状態にもなっています。
もともと、中国と日本は近いので船で2〜3日の距離、通関して輸入者の手に渡るのは船が上海から出航して早ければ4〜5日後、AIRで送ったとしたら飛んだ次の日かその次の日なので船も飛行機もあまり差がありません。この1〜2日の遅れが許されなくて高いAIR代を払って、苦労して作ったセーターの利益がなくなるどころか、全くの損になるのが、我々の悲しい仕事です。スペース取れないから今は、飛ばせ飛ばせ!とか言う人は少ないかもしれませんが、その費用が倍になればやっていけないと言うか、やる気も起こらなくなるというのが僕ら零細アパレル業者の現実ですね。責任の所在にもよりますが、遅れたから工場に費用を持たす、というのは今のオーダーではなかなか言えないことです。オーダーを出す側にも問題があるわけです。

ちなみにバングラディッシュから日本とか、中国からアメリカとか、船積なら20日〜1ヶ月かかるならAIRすることによって時間の短縮が相当できますが長距離のAIRする時点で損が莫大に出るのでもっと大変なことになります。

日本と中国は近いので船の輸送費は今はほとんど上がっていないそうです。しかし、中国からアメリカの輸送費(コンテナ代)は異常に上がっています。
例えば 20フィーターコンテナ(港や道路でも見かける小さい方のコンテナ)は通常1本2000USドルほどのものが2万USドル近くに、40フィーターなら3.5万USドルくらいということです。今がチャンスと暴利を貪るような貨物業者なら4万ドル超えるようなところもあるそうです。

どういうことになるかというと、例えば中国生産アメリカ向けのセーターが普通の40フィーターのコンテナ1本に何枚積めるでしょうか。Tシャツのような薄いものならまだしも、レディスの秋冬物セーターならおそらく積めて1.5万枚くらい、メンズのアメリカの馬鹿でかいサイズのものなら1万枚も載せれないものもあるでしょう。
それが1本3.5万USドル=1枚あたり2.3USドル程度かかるということになります。もともとのコンテナ代が4000USドルなら1枚あたり0.26USドルなので10倍くらいということ。これがアメリカでいくらで売られているかわかりませんが、小売価格にたいしてなら2ドルくらい業者や店舗で吸収できているのか? 値上げおねがいします、、ではすまないと思いますね。
1万枚/1型のオーダーだったら2万USドルの利益が減るわけですから誰かがしわ寄せを食っている、僕らからしたらコンテナ1本分でそんなに利益もないので非常に疑問です。

なぜコンテナ費用が今上がっているのか?当然コロナが原因で、
中国から船積みされてアメリカに行ったコンテナが戻ってくる時、100%の貨物を積んで戻ってきているわけではない。例えば1000本コンテナが輸出されて戻ってくる時に500本くらいしか貨物を積んで戻ってこないということです。ひどければもっと少ないこともあるそうです。何日か船が待つことはできますが、中国で次の船積みの予定もあるのでいつまでの待てるわけではありません。
貨物がないのではなく、アメリカも中国も働く人にも影響が出て、貨物の載積の遅れ、全ての作業の遅れなどで予定通りの輸出入が行われていません。当然輸出品の生産も遅れているのかもしれません。上記の上海の飛行場の貨物と同じようなことが海運でも起こっているということです。
そうなると、コンテナが不足して予約が取れない、上海港の船積みにも時間がかかる、ということが今起こっていまて、アメリカ向けの船の倉庫ではコンテナを持ってきたトラックの待ち時間がひどい時は20時間を超えたりしていて運転手さんも大変です。
昨日ふと思ったのですが、日本とアメリカでも同じような問題が起こっているのでしょうか?それとも、双方が努力して解決しているのか?日本と中国の海運には起こることがないのか?こういうコロナの影響は日本には出ていないのか?今後起こるかもしれないことなのですでに調べている方もおられると思いますが、こういう輸出入費用の高騰で食品などの物価が上がったりしたらまともに生活を直撃する可能性もありますよね。我々は困るけど全体社会を見れば、服なんか別に我慢すればいい、ですむかもしれないけど食べることは我慢で済む問題ではないです。

とにかく我々の身近な問題は、
1、国際宅急便の時間がかかればサンプルなどの荷物がつくのが遅れて、オーダーの遅れ、生産が間に合わなくなるなどの原因でオーダーの減少に繋がります。
2、そのコストが上がれば元々少ない利益がさらに少なくなりさらに経営を圧迫します。
この程度の送料がそんなに影響あるのか?と思われるかもしれませんが、我々が100枚×3型のオーダーを受けたとして、今の時代 100だから1枚3USドル利益ください、、というと、お客さんも無理! 3ドルもらえたとしても、このサンプルを2回+各色サンプル(3色×3型=9枚)1回送ったら製品の重さにもよりますがおそらく300USドル以上はその送料で無くなるはずです。それだけで100枚分の利益が飛んでしまう。小ロットで頑張っている業者の方もやりにくくなります。
中国は今回のクラスターでも一つ一つを厳しい措置で潰していき、この国際貨物送料の高騰も徐々に改善されていくと思いますが、前回書いた原料の高騰、さらに人民元の変動、我々零細企業には今回のことはトドメを刺されるような問題でもあります。
昨日用事で上海に帰ってきて、そのまま親友のTJさんとその友達で以前会ったことのある人と久しぶりに街中へ行って彼らの家の近くの火鍋屋で食事をしました。きびしいコロナ政策のおかげでお酒も自由に飲めますが、やはり客足はそれほど良くないように思えました。TJさんの友達は僕と同じアパレル生産者ですが、オーダーも十分にあり全然余裕があるようでした。というより、ずっとみてきていますが中国の人たちは僕よりも全然悲観的でない、、何とかなると思っていますよね。

それと、僕も同感ですが彼が言っていたこと、努力はしないといけないが、運が半分! お客さんが商売よければ我々もいい、どんなに努力しても付き合っているお客がよくなければ絶対に我々もよくない、、その通りですよね。
改めて、考えすぎずにできることをやろう!!!
帰りの電車の手すりに広告、网红(ワンホン、日本語でいうハードインフルエンサーですね)を斡旋するような業者のものを見ました。アパレル業種でも今は非常に重視されていますね。つくづく我々のセーター生産、ものを作って売る、ということが基本なんだけど、最も原始的なことで、頭を切り替えないといけないと思いますね。
2021年 9月8日

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