“果香”  碧螺春(ビールオチュン)

今回はドリアンの話題ではありません。

これだけ何回も蘇州の工場へ行って日本向けセーター生産の仕事をしていて、いつもこの工場にいろんなお茶があることを気にしていませんでした。3月27日、仕事が遅くなって軽く食事をした後、蘇州の名茶 碧螺春(ビールオチュン https://ja.wikipedia.org/wiki/碧螺春)の一番茶を飲もう!ということで、工場から車で15分くらいの金庭鎮洞庭東山へ行きました。

このウィキペディアにしっかり説明されている碧螺春、日本語で『へきらしゅん』という読み方はちょっと怖い感じがしますが、発音のところに書かれているように中国語では『ビールオチュン』という音で結構心地よいものです。

工場の社長であるXさんはこの碧螺春の生産者(社長)とは友達でした。彼らの下請けの工場の人たちが商売のお客さんへ毎年この洞庭山の碧螺春を贈り物として購入していて、東山と西山のいろんな作り手の碧螺春を味わったことがある、そして今日訪ねた彼の作る碧螺春が最も美味しいということで交流を深め、それを通じて知り合ったということです。

以前のブログで紹介したこともありますが、我々のセーター工場が位置しているのは江蘇省蘇州市呉中区太湖のそばです。蘇州太湖はビッグネームの観光地です。説明すると長くなるのでこの江蘇省の観光サイトhttps://www.kousokankou.com/index.php?r=beautiful%2Findex&cityId=6を添付しますが、東山、西山とかについてはそんなに知られていないかもしれません。

ウィキペディアに碧螺春の産地は”太湖の島洞庭山”と書かれていて、間違っているわけではないのですが、島は西山のことです。ここも碧螺春の産地ではありますが、実際は洞庭山というのは山を指しているわけではなく、半島の洞庭東山と島の洞庭西山の2つの土地の総称なので、この東山と西山の両方が碧螺春の産地ということです。そして中国のサイトで検索したり、彼らの話を聞いたところでは今日我々が来ている東山の方が、生産量も多く質がいいものが多いらしいです。ただ、中国のこういう職人気質の人はみんな 俺のが一番いい!!というのですが。

これも蘇州の美景と言われる白壁の細い道を結構奥へ入って行ったところにお茶の加工工場がありました。夜21時くらいなので他の作業員は宿舎で休んでいましたがちょうどお茶の葉の”手もみ”をしているところです。日本のサイトで検索してみると、数日前のニュースが見つかりましたhttps://news.livedoor.com/article/detail/26093154/ まさに今 我々がみていることです。

この記事に出ている通りの、清明節(4月4〜6日)前の一番茶です。非常にいい香りがしています。そのできたばかりのお茶を飲みながら、話を聞かせてもらいました。作業が終わって、彼の事務所へ移動してお茶を一緒に飲みながら雑談。緑茶の碧螺春は普通透明のコップで飲みます。茶葉の落ちるのを楽しむ、というかウィキペディアにも書いてあり、この職人の彼もいう 曇って見えるような葉の細い産毛(中国語で”白毫”バイハオ)があるものがこの洞庭山産のいいお茶です。彼の話では碧螺春の完成品500グラムをには750グラムくらいの茶葉が必要で、葉の選定と手もみの段階で少なくなってしまいます。そして750グラムくらいの茶葉を摘むには二人で10時間くらいの時間がかかるそうです。

別の碧螺春のサイト(https://www.yygtc.com)ですが、これには一級品、二級品とか、 一芽一叶(一芽に一葉、二葉〜)というようにもっと詳しく書かれています。この会社のサイトはしっかりしていてそれもみてもらったら、トップページのスライド画面に 軍手をして茶を揉んでいる画面があります。この鍋は結構な高温であって、火傷防止のために手袋をはめて作業する人もいるのですが、この職人に言わせたら、茶の状態が体感できない! お茶の最高の温度を理解できない!!らしく、こんなやつは職人ではない!と罵りまくっていました。

この職人の彼はおじいさんの時代から碧螺春を作っていて、東山に600亩(ムー)1亩は約666平方メートルなので約40万平方メートル、ネットで調べたら東京ドーム約4.7個分と書いてありました、の茶畑を所有しています。おじいさんの世代では 周恩来にもお茶を献上したこともあるということ。以前新聞やテレビの取材などもいっぱい受けていて自慢話は止まりませんが、その話の中に聞こえた『果香(グオシャン)』という言葉、これは果物の香りということか?と問うと、更に語気を強めて『その通り!』とお茶の講釈が延々と続きました。

この日は夜だったので次の日に見に行きましたが、枇杷の木と一緒にお茶の木が栽培されているため、長年の土の影響でお茶に果物の香りがするということです。

他社のサイトでも紹介されている白玉の枇杷は東山の名産です。思い出せばたまに工場に枇杷が置いてあったことがありました。ただ、今の4月初めは東山の枇杷はまだまだ摘むことはできません。5月の半ばくらいが時期なのでその時また上海に戻って会社のみんなと一緒にきて枇杷狩りをしたいと思います。

それと、この時は見かけなかったというか、東山の方は比較的少ないと言っていましたが、楊梅(ヤンメイ 日本語ではヤマモモとなっています)、これもお茶の木と一緒に栽培されていいます。これは会社の陳さんの故郷である寧波に摘みに行ったことがあり、白酒につける楊梅酒とかで白酒好きの僕にとっては馴染みが深いものです。

ふと、ドリアンの木と一緒にお茶を栽培していたらどういうお茶ができるのだろうと考えましたが、この枇杷の香りというのはちょっと僕には分かりづらいというか、山のそばなのでその香りに慣れてしまっているのか、そこまで理解することはできませんでした。それに、この『果香(グオシャン)』を職人の彼は強調していますが、ずっと自分のお茶の良さを喋りまくっている間僕以外の三人揃ってタバコを吸いまくって、本当にその奥ゆかしい香をわかっているのか!、まあこういう面白さもいいですが、とにかく逸品であることは間違いないようです。次の日はお腹も頭もスッキリしていました。

僕が緑茶より紅茶やウーロン茶のような濃いお茶が好きだということで、誕生日もちかかったので碧螺春の紅茶を作ってもらって届けてもらいました。これも手もみで仕上げたまあまあ珍しいものです。

500グラム3袋で特別に卸売の値段で分けてもらっても2000元(日本円で約4万円!)一般価格だととんでもないですね。

次の日に風景の写真を撮りに行って、帰りに市場ですでに売っている枇杷を買って食べてみました。彼らと食べたら、案の定 『こんなのは枇杷じゃない! まずい!!』らしいです。彼らの東山の茶畑の美味しい枇杷を5月に食べたらまた報告します。

ドリアンの仕事を始めて、他の果物にも興味が湧いてきましたが、中国では日本の何倍もの果物と接することができ中国内産、海外産の果物を毎日食べていますが、土を通じてお茶とつながるということは長く中国にいて思い付かないことで勉強になりました。

 

太湖は今、太湖外の一部の場所での太湖から引いた水で行う以外の上海蟹の養殖を全域で禁止しています。それによって現在は太湖の底の植物が水面から顔を出すようにまでなっています。飲料水にも使われますが、彼らの碧螺春にも大きな影響を与えているということです。恥ずかしながら雑談の中から”環境”と植物について始めて考えさせられたような気がしました。

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